高島野十郎「ティーポットのある静物」

 

髙島野十郎「ティーポットのある静物」昭和23年以降、福岡県立美術館蔵

髙島野十郎「ティーポットのある静物」昭和23年以降、福岡県立美術館蔵

高島野十郎の画業の中心となるものに静物画があります。作品に取り上げられているのはリンゴやブドウや桃などの果実類か、あるいは菊やバラ、ケシなどの花卉類のいずれかの場合が多いですが、どの作品も卓上静物画で、壁かカーテンを背景にしたテーブルの上に、果実や花瓶に活けられた花が配置されています。しかも、周囲の部屋の様子などは一切描かれず、対象に密着した空間に限定されているのです。果実や花のこまやかな描写もさることながら、テーブルに敷かれた布のしわや模様、また花瓶や皿の光沢なども念入りに表現され、画面の隅々に至るまでおろそかにされたところがありません。戦前期頃までは斜め上からの光線が作り出す陰影によって、立体感と質感が強調されていましたが、しだいに光が全体を包み込み、ごく微細な部分まで均等に表現され、息詰まるほどの濃密な画面になっています。
本作「ティーポットのある静物」は、花瓶や果実がすっきりと配置されることの多い野十郎作品のなかではやや異色で、格子柄の布と豊かな模様のドレープの布がテーブルにかかるなど、変化に富んだ構成となっています。釉薬が光沢を放つ花瓶と乳白色のポット、そして透明なグラスという材質の異なる器に、肌触りが異なる布。これらの違いを正確に表現しながら、赤いリンゴの連なりが画面にまとまりを与えています。

*本作は、現在福岡県立美術館で開催中のコレクション展Ⅱ「特集・風景をとらえる」にてご覧いただくことができます(2017年6月24日~8月31日まで)。