【レポート】八女和紙ワークショップ&バスツアー

牛島智子さん仕事場にて

2日目、牛島智子さん仕事場にて、最後のあいさつをする牛島さん

よく晴れた10月17日18日の2日間、八女和紙ワークショップ&バスツアー「紙でつなごう!ビジュツとコウゲイ まなびひろがる八女和紙ワールド」を開催しました。

参加くださった13名ほどの方に事前にお願いしていたのは「ネット状のものや、糸や繊維、果物などの立体物をお持ちください」ということ。いったい何をするのかも明らかにされず、「八女手すき和紙のワークショップなんだから和紙を使った絵手紙制作や手すき体験ができるのかも」と期待されていた方もいらしたようですが、その期待をきっぱりと裏切り、紙という素材を通して「形をつくるというのはどういうことか」「形に向き合うというのはどういうことか」を、手を動かしながら考える2日間となりました。

紙で形をつくると言うと、いろいろな紙を切ったりちぎったり貼ったりしながら立体物をつくるワークショップを想像するかもしれませんが、「紙、やどる形」の出品作家でもあるバスケタリー作家の関島寿子さんをメイン講師にした1日目のワークショップでは、紙の原料を様々な編み目のネットに通したりかけたりしていきなり形に漉くという実験を繰り返しました。そうすることで紙というものに対する固定観念がひっくり返されるだけでなく、紙の原料となるパルプや形に漉くための素材が持つたくさんの特徴を発見し、その特徴を活かす作業がどういうものかを考え、作業から形に導くために思考を抽象化し、その結果をまた次の形づくりに活かしていくという循環が生まれます。手を動かし続けて考え続けてつくり続けることで、私たちは周りの自然に対する感覚が研ぎ澄まされていくだけでなく、自分自身に対する眼差しを深めていくことができるのです。
関島さんが発する一言一言に参加者たちがやる気をぐんぐん引き出されていくそんな場が、私にとってはまるで魔法のように映りました。

2日目はバスをチャーターして実際に八女まで行きました。コーディネートはもちろん牛島智子さん。いまはごくわずかしか残っていない八女手すき和紙の工房を見学したり、八女和紙の原料となる楮(こうぞ)を栽培されている畑を見学したりして、午後は牛島さんの仕事場に到着。自然豊かでとても気持ちのいい風が吹く、そしてワクワク感とドキドキ感にあふれた、まるで牛島さんその人を場所にしたような仕事場です。
ここで参加者たちは1日目につくったそれぞれの作品にすこし手を加えてから、全員で鑑賞会を行いました。ポイントは、一人の作品に全員が言葉を寄せるということ。感じたことを言葉にすることで鑑賞を深めるだけでなく、自分のつくった作品に寄せられた言葉を知ることで「どうしてこれをつくったのか」が自分のなかで意識化されるのです。
とはいえ、そんなにハードコアなプログラムではありません。牛島さんが用意くださったあんころ餅やお手製の干し柿、さしみこんにゃく(和紙づくりにこんにゃく糊が活かされることもあるのです)をおやつにお茶会をしながらのまったりムード。和紙の原料からつくった作品を言葉にしたり、和紙をつくるときに使用される食物を食べたり、あるいは牛島さんが八女和紙を素材にしてつくったというろうそくを象った巨大な座布団を撫でてみたりと、コンセプトは「和紙を身体化すること」。コンセプトが見事に実現された証にみんなすっかり満腹になったおなかを抱えて、一路福岡ケンビへと戻ってきました。

麻紐を裂いて繊維にして、形をつくり続ける

麻紐を裂いて繊維にして、形をつくり続ける

宝物のような種がたくさん撒かれた二日間でした。参加者みなさんの暮らしのなかで、いろんな芽吹きがあればうれしく思います。とはいえ、企画した私自身が参加者の誰よりもたくさんの種を授けてもらったと悦んでいるのですが(笑 (竹口)

 

ご協力いただいた方々
松尾陽市製紙所、溝田製紙所、古川利治さん(楮畑)

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