福岡県文化賞受賞記念
型と花と 釜我敏子の型絵染

  • 会期
  • 2015年11月29日(日)〜
    2016年1月17日(日)
  • 開館時間
  • 10:00〜18:00 入場は17時30分まで
  • 会場
  • 福岡県立美術館4階展示室
  • 料金
  • 一般:700円 (500円)  高大生:500円 (300円)  小中生:300円 (200円)
ポスター(デザイン:Calamari Inc./掲載作品:型絵染着物《麦秋》1988年、当館蔵)

ポスター(デザイン:Calamari Inc./掲載作品:型絵染着物《麦秋》1988年、当館蔵)

雄大な風景、荘厳な朝焼け、楚々と咲く野の可憐な花。自然を前にしてその美しさにため息をもらすとき、私たちは人知の及ばない神秘の現れに心動かされていると同時に、その同じ空間のなかに私たち自身がいることに驚いているのかもしれません。美しさの源泉に手はまるで届きそうにないのに、その厚みのなかに自身が含まれていること、つながっていることを知ることは、私たちが生きて在るうえでの大きな悦びとなり、心安い原動力となるでしょう。

型絵染作家 釜我敏子(1938- )が染めだす着物を眺めていると、そんなことを考えさせられます。野やまちで出合う小さな草花をモチーフにしながら、釜我が型の繰り返しによって実現する連続模様は繊細でダイナミックで、私の目の前にまるで一枚の膜のように無限に広がっていきます。しかしその膜は、考え抜かれた緻密なデザインと柔らかな色彩のグラデーションによって私を遮るどころか、膨らみながら包み込んでくれるのです。いのちを受け止める懐深さと慈愛に充ちた眼差しにこそ、釜我の型絵染の美しさがあります。

「型の反復が一番難しく、一番面白い作業です」と語る釜我は、地に余白をつくらず全面を模様で埋め尽くします。一見したところ表現のヴァリエーションに乏しいように映るかもしれませんが、そこにはありとあらゆる技が試され、驚きが充ちています。自由に絵を描くのではなく、型紙を彫り、染料で染め、模様を繰り返すという制約があるからこそ出来上がった着物に、その空間の思いがけない広がりや厚み、草花の生き生きした姿に自ら声を上げて驚きもするのです。釜我にとって型絵染という技法は、世界の片隅で受けた驚きをさらなる驚きでもって世界に照らし返す方法でもあります。表現を自らの手の内におさめて世界を小さく私有するのではなく、自身の手を超えたあるがままの世界と向き合うために。

昨年、福岡県文化賞を受賞した釜我は77歳の喜寿を迎え、いまなお新たな技に挑戦しつづけています。福岡県春日市の自宅兼工房に長く住まい、愛犬とともに出かける散歩を日課にしながら、釜我の表現は始まります。繰り返される日々の営みが、まるでもう一つの自然のごとき大らかさを獲得していく開かれを、展覧会場でどうぞ体感してください。

出品リスト(pdfが開きます)→  型と花と_出品リスト

 

型絵染着物「たんぽぽ」(部分)1978年 作家蔵

型絵染着物「たんぽぽ」(部分)1978年 作家蔵

型絵染着物「おだまき」(部分)1984年 作家蔵

型絵染着物「おだまき」(部分)1984年 作家蔵

型絵染着物「もじずり」1997年 当館蔵

型絵染着物「もじずり」1997年 当館蔵

型絵染着物「秋草文」(部分)2012年 作家蔵

型絵染着物「秋草文」(部分)2012年 作家蔵

型絵染着物「山滴る」(部分)2013年 作家蔵

型絵染着物「山滴る」(部分)2013年 作家蔵

 

会期=2015年11月29日(日)~2016年1月17日(日)
*会期中展示替えがあります(前期展示11月29日~12月20日/後期展示12月22日~1月17日)

休館日=月曜日(ただし1月11日は祝日のため開館、翌12日が休館)、年末年始(12月28日~1月4日)

観覧時間=午前10時~午後6時(ただし入場は5時30分まで)

観覧料=一般700円(500円) 高大生500円(300円) 小中生300円(200円)
*( )内は20名以上の団体割引料金
*65歳以上の方は割引料金500円
*次の方々は無料=身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方及びその介護者/教職員が引率する小・中・高等学校・中等教育学校・特別支援学校の児童生徒及びその引率者/土曜日来館の高校生以下
野十郎割:同時期開催の「没後40年 髙島野十郎展」を観覧された方は、野十郎展の半券提示で団体割引料金
着物割:着物でご来場された方は団体割引料金

主催=福岡県立美術館

 

トークイベント

11月11日(水)
プレトーク 午後1時30分から
朝日カルチャーセンター福岡教室にて作家 釜我敏子が展覧会開催前に、創作の秘訣や魅力をお話しします。
*お問い合せや申し込みは朝日カルチャーセンター福岡教室(092-431-7751)まで
→ https://www.asahiculture.jp/fukuoka/course/2b793d30-2d60-79a8-da49-561355d5ff99

11月29日(日)
オープニングトーク 午後2時から
作家 釜我敏子と当館担当学芸員 竹口浩司によるギャラリートーク
当館展覧会場にて 参加無料(ただし展覧会チケットが必要)

イブニングトーク 午後4時30分から
作家 釜我敏子と小倉織作家 築城則子による対談
当館4階視聴覚室にて 参加無料(定員70名)

12月5日(土) ウィークエンドトーク(1) トーカー=高山百合(当館学芸員)

12月6日(日) ウィークエンドトーク(2) トーカー=竹口浩司(当館学芸員・本展担当者)

12月13日(日) 作家本人によるギャラリートーク(1)

12月19日(土) ウィークエンドトーク(3) トーカー=西本匡伸(当館副館長・髙島野十郎展監修者)
*当館2階では「アクロス・ミュージアムコンサートin県美」も開催(午後1時30分から/午後3時からの2回公演、ともに参加無料)

12月20日(日) ウィークエンドトーク(4) トーカー=竹口浩司(当館学芸員・本展担当者)

1月9日(土) ウィークエンドトーク(5) トーカー=魚里洋一(当館学芸課長)

1月10日(日) ウィークエンドトーク(6) トーカー=竹口浩司(当館学芸員・本展担当者)

1月17日(日) 作家本人によるギャラリートーク(2)

*「オープニングトーク」「ウィークエンドトーク」「作家本人によるトーク」はすべて午後2時から当館展覧会場にて(参加無料、ただし展覧会チケットが必要)
*「ウィークエンドトーク」では当館学芸員がそれぞれ各回を担当し(各回担当者は当館ウェブサイトや展覧会場にて後日お知らせ)、お気に入りの釜我作品についてご紹介します(約20分間)