福岡県立美術館
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「新聞美術館展 2」と「小特集:久我五千男が集めた須恵焼」

コレクション展 第Ⅱ期

「新聞美術館展 2」と「小特集:久我五千男が集めた須恵焼」

現在、西日本新聞紙上で掲載中のコラム「新聞美術館」で、当館所蔵の作品を毎回1点ご紹介しています。令和4(2022)年11月から始まってすでに30回を超えました。今年度のコレクション展は、この「新聞美術館」に登場した作品を、掲載された解説文とともに展示いたします。掲載作品を生み出す契機となった作品や、その後の展開を示す作品、あるいは関連する他の作家の作品なども展示し、作家や作品をより深く味わっていただけることと思います。

第Ⅱ期では、坂本繁二郎や髙島野十郎、野見山暁治のほか、新たに日本画の川辺御楯や冨田溪仙、上田宇三郎、洋画の藤田吉香などが加わり、約25作家の約40点を展示します。

併せて、第Ⅱ期では、「小特集:久我五千男が集めた須恵焼」をご覧いただけます。画商でありコレクターであった久我五千男(くが・いちお、1911-84、現・北九州市若松区生まれ)の取組みについて、今年開窯260年を迎える「須恵焼」にスポットを当てながらご紹介します。

1985年、今から約40年前、ご遺族のご厚意により、久我五千男の2つの美術コレクション、ひとつは457件の九州古陶磁コレクション、もうひとつは308件のキリシタン関連資料コレクション、及び約1500冊の美術関連書籍が当館に寄贈されました。

久我は戦前から現・大阪市北区で画廊「草人社」を営んでいました。大阪を拠点としながら、出身地である九州の近世における諸窯及び知られざる窯に着目した蒐集に取り組み、体系的な九州古陶磁コレクションを築きました。その中でも、今なお幻の筑前磁器とも呼ばれている須恵焼は、1764年から約140年間にわたって現在の福岡県糟屋郡須恵町で操業し、幕末には筑前国最大規模の黒田藩磁器御用窯としても栄えました。戦前から銘入りの須恵焼を収集していた久我は、晩年、須恵町の人や土地に対して自身のコレクションとの縁を感じ、須恵町に私設美術館「久我美術研究展示館」(現・須恵町立美術センター久我記念館)を開設しました。約4年にわたって美術館活動にも取り組みました。

今回の小特集では、久我分類を尊重した「須恵」区分の全55件をご紹介し、久我コレクションの一部を展観することによって、いまだに特徴を捉えづらいとされる須恵焼について他の窯との比較を通して考える機会となるとともに、コレクションを通して、ひとりのコレクターのものの見方や考え方、学術的好奇心の豊かさが立ち上がればと願います。その他、坂本繁二郎との画商としての親交の深さを物語る作品、九州古陶磁コレクションのハイライト、もうひとつの蒐集対象であったキリシタン関連資料コレクション(本資料群は調査が完了していないためあくまで愛蔵品として)も一部ご紹介します。須恵焼の柔和で素朴な味わいとともに、コレクションに傾けた久我の情熱を会場でご覧ください。

■関連イベント
① 「小特集:久我五千男の集めた須恵焼」関連 特別ギャラリートーク
② 「小特集:久我五千男の集めた須恵焼」関連 夏休みこども企画・布絵本「須恵焼ものがたり」読み聞かせ会
③ 学芸員によるギャラリートーク

■臨時休館のお知らせ
8月3日(土)、4日(日)は県展搬入のため臨時休館となります。ご迷惑をおかけしますがご了承ください。

髙島野十郎「蝋燭」大正期、当館蔵
「須恵 呉州菱馬図水差」天明年間、福岡県立美術館蔵(久我五千男旧蔵コレクション)

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