髙島野十郎は、71歳になった昭和36年頃から、東京から千葉県柏市に転居します。直接には昭和39年の東京オリンピックに向けた都心の道路整備に起因するものでしたが、静寂な場所を求めて居を移したようです。
当時の柏は、まだまだ田畑と林が広がる長閑な場所でした。かれはこの地に建てた静かなアトリエから、精緻な写実の筆で意欲的な作品を発表しています。とくに「月」のシリーズは、柏の静かな田園から生み出されました。
野十郎は、柏の最初のアトリエを建てて10年後に、ほど近い場所にあったわら葺小屋に移ります。柏も都心の衛星都市として住宅開発が進み、転居せざるを得なくなったのです。すでに81歳になっていました。
このわら葺小屋は、大きな茅葺の立派な本宅の敷地内にあり、かつては剣道場として使われていました。このわら葺小屋は画家・野十郎の最後のアトリエでした。4年後には、野田市の養護施設に移されて死を迎えます。
野十郎最後のアトリエのオーナーであった伊藤さんの貴重な茅葺の本宅は、現在も住まいとして守られています。
このたび、千葉県内でも珍しくなった風格ある茅葺の本宅と、その横の粗末なわら葺小屋(現存せず)で人生最後の画業を送っていた野十郎を紹介する番組が放映されます。
東京地域限定ですが、機会があればご覧ください。
【放送日時】
2018年5月24日(木) 21時30分〜21時55分の
千葉テレビ「ニュース930」内での特集 *本宅の茅葺の紹介
【再放送日時】
2018年6月1日(金) 7時頃
千葉テレビ「シャキット」(6時45分~8時)内での放送
野十郎のアトリエのことは、6月の同番組で紹介されます。放映日がわかりましたら、この「野十郎通信」でお知らせしますのでどうぞお楽しみに。