福岡県立美術館
Fukuoka Prefectural Museum of Art
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すっかり暖かくなり、来週からはいよいよ4月です。ケンビが建つ須崎公園の桜は、もうあと少しで満開です。
現在、4階展示室では、コレクション展「福岡の日本画と彫刻」を開催中です。
福岡県の近代美術において、洋画だけでなく日本画や彫刻の分野でも優れた作家を数多く輩出しています。今回、会場は日本画と彫刻作品で彩られています。
松永冠山作「行く春」をはじめ、春らしい作品も紹介していますので、須崎公園の桜とともにぜひご鑑賞ください。
みなさまのお越しをお待ちしています。(新谷)

 

 

 

 

 

 

コレクション展連続企画 第2弾 特集・福岡の日本画と彫刻 出品作品一覧

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阿部春峰「紅梅鵯図」

現在、福岡県立美術館4階展示室で開催中の「コレクション展連続企画 第2弾 特集・福岡の日本画と彫刻」の出品作品目録です。ご覧になりたい作品があるか、チェックしてみてください!
みなさまのお越しをお待ちしております。
なお、日本画は展示替えを予定しています(前期/3月21日~4月26日、後期/4月28日~6月7日)

◆日本画◆

阿部春峰「紅梅鵯図」【前期】
阿部春峰「端山の秋」1921年、第3回帝展【後期】
池田遙邨「橿原神宮」 [個人寄託] 【前期】
今中素友「姪の浜の真景」1916年【前期】
今中素友「松渓白雲」1918年【後期】
上田宇三郎「裸婦」1955年、1967年遺作展
上田宇三郎「水」1961年、1967年遺作展
上田鉄耕「雪中山水図」明治期【後期】
内海吉堂「花鳥図」1887年[個人寄託] 【後期】
大田 歳「森」1958年、第11回日本美術協会展(佳作賞)
小野茂明「芽をふく頃」1941年頃、第1回新生社展(新生社賞)
甲斐巳八郎「雪」1969年、第1回甲斐巳八郎・大策親子展
鏑木清方「戸塚の松」1935年[個人寄託]【後期】
川辺御楯「尹大納言赴比叡山図」1888年【前期】
川辺御楯「楠公迎鳳輦図」1889年【後期】
川辺御楯「雄略天皇歌女」【前期】
川辺御楯「蛍狩之図」【後期】
小早川 清「菊見少女」 [個人寄託] 【前期】
小早川 清「美人図」 [個人寄託] 【後期】
坂 宗一「岩風呂」1970-1989年
坂 宗一「桜とあじさい」1970-1989年
榊原紫峰「深山双鹿図」1926年、明治・大正・昭和三聖代名作展(1937年)[個人寄託] 【前期】
柴山光台「聖園童女」1949年、第5回福岡県展
島田美津「バスを待つ」1992年
冨田溪仙「沈竈・容膝」1913年、第7回文展【前期】
冨田溪仙「桃林牧牛図」1917年、1918年第2回日本美術院同人作品展【後期】
冨田溪仙「雨中の鷺」1917年、1918年第2回日本美術院同人作品展【後期】
冨田溪仙「黄檗摘茶図」1917年、1918年第2 回日本美術院同人作品展【後期】
冨田溪仙「淀城」1917年、1918年第2回日本美術院同人作品展【後期】
冨田溪仙「琉球帖」1917年
冨田溪仙「かひこの森」1921年【前期】
冨田溪仙「栂尾晩秋」1934年【後期】
冨田溪仙「牡丹唐獅子図」【前期】
中西耕石「越渓秋雨図」1862年【前期】
中西耕石「山人観瀑図」1868年【後期】
蓮尾辰雄「壕の内」1985年
久野大正「石巣」1980年、第15回如月会展
久野大正「石貌」1983年、第18回如月会展
姫島竹外「竹谿茶話図」1905年【前期】
姫島竹外「墨竹図」1905年[個人寄託]【後期】
藤田隆治「地脈の魚」1961年
藤島耕山「花卉蔬菜図」 [個人寄託] 【後期】
古野靖弘「浄地」1975年、第13回玄霜会展
松永冠山「行く春」1930年、第11回帝展【前期】
水上泰生「山々の装ひ」1917年、第11回文展【後期】
水上泰生「山葡萄図」【前期】
村田香谷「二荒山神楽堂御運動之図」1890年【前期】
村田香谷「松林精舎図」1905年【後期】
邨田丹陵「大宮人」1907年、第1回文展(3等賞) 【後期】
邨田丹陵「狩之図」【前期】
森田秀樹「廃坑の道」1991年、第43回京展(委嘱出品)[個人寄託]
森田秀樹「雨」2002年、第58回福岡県展(会員の部) [個人寄託]
山喜多二郎太「田を耕す」1960年、1978年山喜多二郎太遺作展
吉嗣拝山「墨梅図」1899年[個人寄託]【前期】
吉村誠司「遊園」1992年[個人寄託]
吉村忠夫「麻須良乎」1941年【前期】
吉村忠夫「松浦川」1942年【後期】
吉村忠夫「天平美人図」【前期】
吉村忠夫「月下涼波」【後期】
吉本尚二「社頭」1950年、第6回福岡県展
横尾芳月「鏡」

◆彫刻◆
植木 茂「トルソ」1956年
大神崇維「建築技師」1993年、第49回福岡県展
河原美比古「空へ」1983年、第47回新制作展(新作家賞)
北原鹿次郎「男の首」
木戸龍一「硬い雲」2004年、2004玄展
小田部泰久「どっこいしょ」1971年
津上昌平「収穫(山)」1930年、第2回聖徳太子奉讃展
冨永朝堂「迦陵頻伽の夢」1947年頃、1948年第5回西部美術協会展
冨永朝堂「天の川」1958年、第1回新日展
冨永朝堂「天の御柱」1960年、第3回新日展
豊福知徳「構成」1962-1973年、1962年個展(カヴァリーノ画廊、ヴェニス)
豊福知徳「継続」1973年、1978年個展
早川朝洋「みいくさ人と児」1942年[個人寄託]
廣瀬不可止「歴史」1967年、第52回二科展
宮崎凖之助「離れて歩く人」1977年、 ’77今日の美術展
宮崎凖之助「机・椅子(ぼくの部屋)」、1974年
安永良徳「首B」1932年、第6回構造社展 *鋳造1961年
安永良徳「1956年作品第21」1956年、 第12回日展
山崎朝雲「土部」1916年
山崎朝雲「力角之宿禰」、1926年、第7回帝展
山崎朝雲「鳩杖」1932年、第13回帝展
山崎秀雄「カメラ・ファン」1939年[個人寄託]

◆新収蔵品◆
高鶴 元「古上野釉鉢」1969年頃
高鶴 元「刷毛目皿」
高鶴 元「彫絵掛分皿」
高鶴 元「古上野釉窯変水指」
高鶴 元「古上野釉金彩六角櫛目彫鉢」
高鶴 元「古上野釉平鉢」
髙島野十郎「紫をもととリンゴ」1920年[個人寄託]
髙島野十郎「村落の冬」1930-1932年[個人寄託]
髙島野十郎「藤十郎の恋」 [個人寄託]

3/24~3/29の貸館情報

明日の建築と都市展

1960-2000年の福岡をふりかえる

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20世紀後半の福岡において企画された建築・都市計画、構想等をご覧頂き、福岡における明日の建築と都市を考える機会を持ちたいと思い、民間、行政、学術等の様々な分野で建築、都市計画に関わる皆様の賛同を得て企画いたしました。
福岡市をはじめとする自治体の都市計画、建築行政に関する委員長、会長職を務め、マスタープラン策定、住宅地開発、生活環境の整備など、都市の発展に貢献し、福岡市の自治体シンクタンクである財団法人福岡都市科学研究所(現福岡アジア都市研究所)初代理事長であった光吉建次氏(九州大学名誉教授、1925-2000年)に焦点を当て、氏の関与した都市計画や建築を主とした展示です。
皆様の明日の建築と都市を考える機会になれば幸いです。(会場 1階展示室 入場無料)

第32回習字研究社社中展

(併催第22回蒼龍会書作展)

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昭和52年4月に発足をし、全国約4万人の会員で教育書道を中心に毎月通信教育で一枚一枚添削、段級位をして返却するシステムの会社で年一回発表の場として「社中展」を実施しています。半切(軸装)約550点、小型額(かな・ペン)約30点を展示。(会場 3階1・2・3・4号展示室 入場無料)

3/17~3/22の貸館情報

日本習字姪浜書友会展

日本習字創設者原田観峰先生の「正しい文字・美しい文字」の普及と手書き文字の良さを子どもたちから成人までの作品を通して発表します。書作品約130点を展示しています。(1階展示室 入場無料)

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清田恵泉45周年社中展

続けることの大切さ、多くの方の支えがあってこその45周年。感謝の気持ちを込めて、各教室からの作品を含めた書作品約200点を展示します。(3階 1号展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ビエンナーレ第30回西日本陶芸美術展

1980年、西日本新聞35,000号記念事業の一環として創設。第1回大賞受賞の中島宏氏をはじめ、現代の陶芸界をリードする作家を多く輩出するなど西日本で最大の公募展です。(3階 2・3号展示室 入場無料)
主催:西日本新聞社OLYMPUS DIGITAL CAMERA

近藤由紀 書作展

大学卒業にあたり、大学4年間の集大成として、これまでの学習の成果を発表する卒業制作個展です。これまで学んだことを最大限に生かし、バリエーション豊かな作品を展示しています。(3階 4号展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

とっぷらいと100号

写真 櫻木雅美

写真 櫻木雅美

福岡県立美術館が開館した1985年からはじまった「とっぷらいと」。数年前に福岡県立美術館「ニュース」から「レター」へとリニューアルし、本日めでたく第100号が発行されました。

モノトーンにしっとり濡れた表紙写真をめくると、色とりどりな美術のたのしさがひろがっています。見かけた方はぜひ手に取って、開いてみてください。きっと「おっ!」って声が出ちゃいますよ。(竹口)

 

福岡県立美術館レター「とっぷらいと」100号

100号記念ラウンドトーク「これからを照らす『とっぷらいと』を夢みて」
美術館あれこれ/開館30周年2015年度の展覧会ラインナップ
びじゅつことのは/洋画家 児島善三郎の言葉から
コレクション通信 特別編/開館30周年記念コレクション展連続企画からのこの1点
1)洋画 「サイゴンの夢」中村研一
2)日本画 「かひこの森」冨田溪仙
3)現代美術 「天動説 六」菊畑茂久馬
4)工芸 「貝殻文色漆手箱」柏崎栄助

表紙・裏表紙写真 櫻木雅美
デザイン 毛利清隆

古川吉重展残り1日です&絵画の「穴」についてのお話

3月15日は「古川吉重1921-2008」展の最終日です。古川吉重さんの作品世界はご堪能いただけたでしょうか。
長くニューヨークで活動した古川吉重という画家の一生、その追い求めたもの、辿りついた世界をぜひ会場でお楽しみください。

古川吉重「無題」1971年、個人蔵

古川吉重「無題」1971年、個人蔵

古川吉重「L14-2」1993年、個人蔵

古川吉重「L14-2」1993年

古川吉重「L12-6」1993年、個人蔵

古川吉重「L12-6」1993年、個人蔵

さて、今回も小ネタを一つご紹介します。「穴」についてです。

古川さんは自分を「画家」と任じた人だと思います。
ゴムシートや画布を縫い合わせた作品も彼にとっては「ペインティング」でした。
そんな古川さんの作品ですが、ところどころに興味深い「穴」が見え隠れします。
絵画に穿たれた「穴」。なかなか興味深い問題です。

いろんなタイプの「穴」があるのですが人気が高いのはこちらの「穴」でしょうか。

古川吉重「FIELD-12」1970年頃、個人蔵

古川吉重「FIELD-12」1970年頃、個人蔵

この「FIELD-12」には穴がありますが意外と気付かれなかったりもします。そして気付いたときの驚きが人気の秘密なのでしょう。
気付きにくいのには理由があって、カンバスの裏に厚紙がはりつけてあり、穴の向こう側が真っ暗闇になっているからです。だから、ただの黒い丸に見えるのです。
会場で散見される他の穴と比べてみると、それが意図的なものであるのは一目瞭然です。
「FIELD」シリーズを手がける前、1960年代後半、古川さんはオプ・アートの影響を思わせる錯視的効果を利用した作品を手がけていますが、「FIELD-12」の黒い丸に見える穴は、その錯視的効果への興味の延長上にあるといえるでしょう。
しかし、1960年代後半の古川さんの錯視的効果を利用した取り組みはあくまでカンバスの表面における色彩と形の組み合わせ終始していました。それが、「FIELD-12」では、その表面に穴があいてしまった。
穴が穿たれたカンバスは絵具の層をのせる面としての役割から逸脱していき、古川さんは次第にカンバスそのもの、あるいは支持体そのものを造形の対象として扱うことへの興味を深めていきます。
その流れは会場で確認していただくとして、「FIELD-12」の穴に戻りましょう。古川さんはこの時期の作品についてこんな言葉を残しています。「平面であることに飽き足らず、打抜き金具によって直接カンバスに小円の穴をあける。視覚は画面の背後に吸収される」。

「画面の背後」とは何なのか。「FIELD-12」においてはこの暗く先の見通せない穴の奥、ボイドと表現したくなるような空間なのでしょう。
一方で、もっと即物的な「画面の背後」を見せる穴が古川さんの後の作品にはあります(どの作品かは探してみてください)。
穴
「FIELD-12」よりも気付きにくいこの「穴」。この穴から除くのは、カンバスの骨組みとなる木材、そして壁です。
それらは「絵画」を支えるものであり、私たちが「絵画を見る」ときには隠されているもの、透明なもの(ないもの)として扱われるものでもあります。
(慣習的に、私たちが「絵画を見る」時に捉えているのは、額縁によって世界から切り取らたカンバスの表面にのった絵具が生み出す世界、ということもできると思います)
それら隠されていたものが開示されるとき、改めて、私たちは思うかも知れません。「絵画って何?」と。
とはいえ、古川さんが非常に理論的に、ある種攻撃的に、絵画の在り方を問いただすタイプの作家だったようには思えませんし、絵画の在り方を問いかけることがこの作品の根幹であるようにも思えません。
古川さんの作品を見渡し、古川さんの言葉を拾い集める限り、古川さんは終生画家であり、一途に「ペインティング(絵画/描くこと)」の世界に身をおいた人であったように思います。たとえ、ゴムシートと画布を縫い合わせた作品であってもです。そこには一歩一歩地道な造形的思索の跡は見えますが、存在基盤をひっくりかえそうとするような衝動はあまり感じられません。
ただし、古川さんの生きた時代は、ラディカルに絵画の在り方を問いただしていった時代でもありました。古川さんも無縁ではなかったでしょう。この「穴」はその証であるようにも思われます。
古川さんのとある「絵画」の見過ごされることも多い小さな「穴」は、絵画を支えるものを垣間見せるとともに、古川さんの生きた時代を覗かせているともいえるかもしれません。(藤本)

古川吉重展残り3日です&絵画のヨコについてのお話

「古川吉重1921-2008」展も残すところあと3日になりました。
福岡に生まれ、40歳を越えてニューヨークに渡り、抽象の世界を追い求めた古川吉重さん。
本展では4つの章と幕間で古川さんの軌跡とその作品の魅力を紹介しています。

古川吉重「L9-4」1990年、北九州市立美術館蔵

古川吉重「L9-4」1990年、北九州市立美術館蔵

古川吉重「L-42」1981年、福岡市美術館蔵

古川吉重「L-42」1981年、福岡市美術館蔵

 

 

さて、会期残りわずかになり、古川さんの世界を十分に堪能された方も多いかと思うので、ちょっと小ネタをご紹介します。

よこトリミング

灰色の地に赤、黄土色、黄色や白、そして黒が飛び交うこの「作品」(ひとまず作品とします)。
展覧会をご覧になったかたはご記憶にあるでしょうか。
おそらく「記憶にない」かたのほうが多いのではないかと思います。
というのも、これはある作品の「ヨコ(側面)」だからです。
ちなみに正面から見るとこんな作品です。

古川吉重「L3-5」1986年、埼玉県立近代美術館蔵

古川吉重「L3-5」1986年、埼玉県立近代美術館蔵

正面から見たときに目に入る色彩と側面から見たときに目に入る色彩の印象は随分違います。
(とはいえ、よくよく見ると、弾丸のような、アーチ型の扉のような白い形象には赤の色が重ねられていますし、青い長方形の端には鮮やかな赤や黄、オレンジが垣間見えています。)

正面観と側面観のこの違いはいろいろなことを考えさせられます。

例えば、黒の世界から色彩の世界への中間点としての「L3-5」の位置です。

この作品が描かれる前、1980年代前半、古川さんは70年代の画布とゴムシートを縫い合わせた作品から「描くこと」に回帰し、いわば「黒の絵画」と言えるような一連の作品を手がけていました。
この記事の二番目に掲載している「L-42」(1981年)はまさにその時代の作品です。
そして、その黒の時代を経て、80年代後半から古川さんは色彩豊かな抽象絵画の世界を展開していくようになります。
この記事で最初に掲載している「L9-4」(1990年)は色彩が画面に広がりはじめたころの作品で、今日、古川吉重さんの絵画といえば、こちらの作風を連想する人のほうが多いでしょう。

「L-42」では黒を基調とした地の上に、白い形象が画面からはみ出しながらも描かれ、さらにそこに青い長方形が描かれています。黒と白を中心とした抑制された色彩感覚は80年代前半の黒の時代に近く、そこに差し込まれる青が次の時代を予兆しています。
しかし、実は、この作品では、作品の側面にこそ、80年代後半から前面化される色彩が渦巻き、顔をのぞかせてるとも言えるのです。
むしろ、正面の幾何学的に整えられた世界以上に、この側面の交じり合う色彩こそ次の時代の萌芽を示しており、また、過渡期の絵画が胚胎するエネルギーの表れとなっているとも考えられるのです。

一方で、古川さんのその後の絵画では、正面から見える色彩と側面から見える色彩はほとんど同じです。
絵画のヨコをどうするか。古川さんはいろいろなことを試みています。
絵画のヨコは「絵画とは何であるか」を考える上ではとても重要な要素であり、また画家が「絵画とは何であるか」を示すための重要な要素とも言えるでしょう。
カンバス(支持体)の表面に広がる世界が絵画の世界なのか否か。
このヨコを巡る試みの末、古川さんがたどり着いたのは、正面の色彩とほぼ同じ色彩を側面を採用するスタイルでした。
古川さんにとって「絵画」とはこのようなカタチだったのでしょう。

ちなみに、古川さんはゴムシートの作品も「絵画」という言葉で表現しています。
「そこに生ゴムがあったから、ということです。私にとってはごく自然なペインティングだと受け取っていただければ・・・・・・」(『毎日新聞』1977年3月5日付)

古川吉重「無題」1974年、埼玉県立近代美術館蔵

古川吉重「無題」1974年、埼玉県立近代美術館蔵

しかし、実は、晩年の古川さんの絵画のヨコは異なる展開を示します。

古川さんにとって「絵画」とは何だったのか。どうあるべきものだったのか。
その探求はきっと、紙の上ではなく、会場でこそ感じ取ることができるものでしょう。(藤本)

 

3/10~3/15の貸館情報

第25回 土筆書道会社中展

代表の宮原清翠は、故今井凌雪先生の門下生です。第1回作品展より手本に頼らないことを前提に、各人がコツコツと研究した成果を発表してきました。古典の研究に立脚した作品の展示会です。(1階展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

福岡工業大学エクステンションセンター

第13回あとりえ展

真田則幸を講師とした生涯教育の生徒30名による作品展。デッサン・油彩画・水彩画・パステル画・色鉛筆の作品約60点を展示しています。(3階 1号展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

第17回文化書道 福岡書友会展

福岡書友会会員の作品(条幅、扁額、半紙、巻紙、等)約100点を展示しています。
(3階2号展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

第11回 四季の会作品展

画歴3~20年、平均年齢75歳のグループ展。県立美術館での開催11回記念のグループ展です。描くことが楽しみで11回目を迎えます。(3階 3号展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

下尾幸生 陶展

土、釉薬も自分の納得のいくものを自分でつくり、焼成も1回でなく本焼きを2回行い、1回目の焼きの上に2度目のうわぐすりを焼きつける方法で、唐津、上野、高取を意識しながら若干違う陶器に仕上げました。(3階 4号展示室 入場無料)OLYMPUS DIGITAL CAMERA

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