岡田三郎助「婦人像」

(2)岡田三郎助「婦人像」

「婦人像」(ふじんぞう)
明治42年(1909) 第12回白馬会展 油彩・画布 40.8×52.9cm

青葉から差し込む明るい光を背に、どことなく物憂げな表情をした女性が頬杖をついて佇んでいます。色白の肌、ぱっちりとした二重瞼の眼、整った鼻筋、小さく結ばれた口元。彼女はいわゆる「美人」の典型として描かれているのです。印象派風の軽やかで生き生きとした筆触と色彩で描かれた自然と、リズミカルに描かれた着物、そして紫色に白色を塗り重ねることで生まれる柔らかな肌の質感。このように、甘美さと叙情性が同居する画面は、繊細な色彩によって包み込まれています。

佐賀に生まれた洋画家の岡田三郎助(1869-1931)は、東京美術学校西洋画科を卒業後、明治29(1896)年に黒田清輝らとともに白馬会の結成に参加しました。その後フランスへ留学、ラファエル・コランに師事し、師の優美で典雅な画風を忠実に学んで帰国します。帰国後は東京美術学校教授に就任、明治40(1907)年に開設された文展の審査員を務めるなど、名実ともに画壇の重鎮となりました。

それと時を同じくする明治40年代以降、彼は女性像を積極的に描き、「婦人像の岡田」という名声をほしいままにしました。そこで岡田が課題としていたのは、光をいかに表現するかということ、さらには、人物と背景をいかに調和させるかということでした。明治42(1909)年の第12回白馬会出品作と考えられる本作もそのひとつの試みでしょう。そしてこのような女性像が、やがては《水浴の前》(大正5年、第10回文展、石橋美術館蔵)や《あやめの衣》(昭和2年、第2回本郷絵画展、ポーラ美術館蔵)を初めとする、装飾的で色感豊かな裸婦像の傑作へと結晶化していくのです。(高山)