【コレクション展Ⅰ 特集: 野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 4 】

当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。

*本展は、3月14日から5月10日までの会期を予定していたものです。
現在当館は、臨時休館を終了し、5月18日から8月2日まで「コレクション展Ⅱ 特集:赤と黒」を開催しています。

 

◆ コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描   【 4 】

1-2  終戦、そして筑豊

1948年、野見山は再び上京します。しかし、生まれ故郷の福岡県飯塚の炭鉱の風景に心惹かれ、初期の代表的作品ともなる「廃坑」の連作に取り掛かります。

「青年になって東京へ移り、美校を卒業し、何年も離れていた自分の家に帰り、今まで気付かなかった人工的な炭鉱の風景に非常に逆に魅せられた。この冷たい人工的な風景が郷愁としてあるのか、作られた自然が性格的に好きなのか自分ではよく解らない。」

それまで興味を持つことがなかった風景が、セザンヌを知り、そして対象を幾何学の形でとらえるキュビスムに傾倒していく中で、郷里の炭鉱の風景は異なって見えたと言います。また、炭鉱の風景を描く際には、鉛筆が適した画材だったとも述べています。
上記2つ並んだ作品を見比べるとお分かりいただけるように、油彩画の下絵として描かれたものです。

油彩画に仕上げられた作品の中から、1951年第15回自由美術協会展で《廃坑(A)》のほか2作品が入賞を果たし初期の代表作となりました。日本での評価を得た野見山ですが、ついに長年希望していたフランスへと渡ります。(岡部)

つづく  【 5 】

前回【 3 】は、こちら

【コレクション展Ⅰ 特集: 野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 3 】

当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。

*本展は、3月14日から5月10日までの会期を予定していたものです。
現在当館は、臨時休館を終了し、5月18日から8月2日まで「コレクション展Ⅱ 特集:赤と黒」を開催しています。

 

◆ コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描   【 3 】

1-1  終戦、そして筑豊

野見山は1938年に上京し、東京美術学校油画科予科(現・東京藝術大学)を経て、1939年同校本科へ進学し南薫造教室に入室します。南のほか、藤島武二、岡田三郎助、小林萬吾らの教授陣に学びながら、野見山は絵画を探求していきます。そのような充実した学生生活にも戦争の影が徐々に忍び寄るのです。1943年、戦争のために卒業が半年繰り上げられ、戦地に派遣されます。間もなく、学生時代に患った肺浸潤が再発したため戦地を離れ、福岡県内の傷痍軍人療養所にて終戦を迎えます。

「終戦までは、絵を描くにも海岸線には憲兵がいたり、高いところから描いちゃいけなかったり、いろんな制約があった。何でも自由に描いていい時代がやってきたが、別に嬉しくはなかった。」(北里晋『眼の人野見山暁治が語る』弦書房、2009年)と、のちに野見山は静かに回想しています。

野見山暁治《自画像》1946、鉛筆・紙、当館蔵

《自画像》は終戦直後に描かれた貴重な一作です。野見山は、戦争に阻まれながらも「絵描きとして生きていきたい」という幼少期からの一途な思いを胸に抱いていました。この頃は、再び自由に絵筆をとることが出来た時期でもあります。本作に描かれた青年は、光がさす方向を背にして、暗がりへ、やわらかく純真な視線を投げかけています。その様子は、美術の流行にとらわれることなく自らの道を歩み続けてきた野見山の未来さえ予見させるかのようです。終戦後の空気の中、ナイーブにも確かな意志を秘めた青年期の画家の肖像がここに描かれています。(岡部)

 

つづく  【 4 】

前回【 2 】は、こちら

 

【コレクション展Ⅰ 特集: 野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 2 】

当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。

*本展は、3月14日から5月10日までの会期を予定していたものです。現在当館は、新型コロナウイルス感染症の感染とその拡大防止のため臨時休館しております。

◆ コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描   【 2 】

はじめに

1920年に福岡県嘉穂郡穂波村(現・飯塚市)に生まれた洋画家野見山暁治の水彩・素描を特集します。今年100歳を迎える野見山の画業の初期から70年代まで、そして90年代をご紹介します。

野見山の作品といえば、大きなカンバスに描かれた抽象的な油彩画を思い浮かべる方が多いかもしれません。たしかに野見山の多くの作品は、一見すると抽象的にも映りますが、いつも何らかのモチーフ(対象物)から着想し制作されています。抽象的であっても、具象的であっても、野見山の関心のあらわれこそ画面に描かれているといえます。今回ご紹介する水彩・素描は、自画像、炭鉱の風景、パリの風景、ひと、樹など概ね具象的に描かれています。これらは、野見山の活動の初期ともいえる終戦直後からフランス帰国後に油彩画の制作と並行して描かれました。

水彩・素描は、今となっては美術表現の1つのジャンルですが、伝統的な西洋美術では、油彩画の下絵として考えられていました。当時、多くの画家たちがそうであったように、野見山もまた当初下絵としてこれらの制作に取り組んでいました。ご紹介する作品の中には、実際に油彩で制作されたことが確認できる作品もあります。しかしながら、長きにわたる野見山の画業においても、油彩画の下絵という役割をこえていきます。絵を描くことに対して忠実に歩みを進めるうえでは自然な流れだったのでしょう。今日の野見山の油彩画を考える上でも、水彩・素描に着目することは大切な意味を持ちます。

本展では、油彩画も織り交ぜながら、もう一つの側面から野見山の画業をたどります。(岡部)

つづく  3

前回【 1 】 は、こちら

【コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 1 】

 当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描」展について、順次公開してまいります。
本日は、その初回として、「コレクション展とは?」をお送りします。

*本展は、3月14日から5月10日までの会期を予定していたものです。現在当館は、新型コロナウイルス感染症の感染とその拡大防止のため臨時休館しております。

 

◆「コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描」展 【 1 】

「コレクション展とは?」

当館は、開館以来、福岡県及び九州にゆかりある美術作品を収集してきました。現在所蔵する作品点数は、約1万点にものぼります。それらの作品の中から毎回異なるテーマを設けて、さまざまな角度から所蔵品をご紹介しています。当館では、毎年3本程度のコレクション展を開催しています。

今回のコレクション展では、 1920年に福岡県嘉穂郡穂波村(現・飯塚市)に生まれた洋画家 野見山暁治の水彩・素描を特集します。今年12月に100歳を迎えることを祝して、長年、油彩画と並行して取り組まれてきた水彩・素描に着目し、野見山の世界観をご紹介します。(岡部)

つづく 【 2 】

 

【「おとない -Sound/Visit-」展】 城一裕《線 (可逆的な) / Lines (reversible) 》の稼働時間について

城一裕《線 (可逆的な) / Lines (reversible) 》は、1月18日(土)、1月19日(日)に以下のタイミングで稼働する予定です。

10:00頃

11:00頃

12:00頃

13:00頃

14:00頃

15:00頃 (18日のみ)

16:00頃 (18日のみ)

17:00頃 (18日のみ)

「おとない -Sound/Visit-」展(2020.1.15~1.19)

「おとない -Sound/Visit-」展(2020.1.15~1.19)

【出品作家】
生島国宜、Eri Tsutsumy、城一裕、duenn、monogs

2020.1.19 15:00~ ライブ&アーティスト・トーク

おとない
①音のたつこと。また、その音や響き。
②けはい。様子。
③おとずれ。訪問。
④評判。うわさ。

「音とは神の『音ない』(音をたてること。訪れ)」(白川静)

本展では、福岡県立美術館という場、福岡県立美術館のコレクション、視覚芸術・音響芸術の領域で活動する福岡の作家たちの作品、それらの出会い、共鳴により、美術・芸術や美術館という場を見つめなおすとともに、新たな多声的可能性を探ります。

会場:福岡県立美術館1階彫刻展示室
会期:2020年1月15日(水)~ 19日(日)
主催:福岡県立美術館、おとない展実行委員会
助成:公益財団法人 福岡文化財団

カテゴリー

アーカイブ

開催中の展覧会

展覧会
野見山暁治《ベルギーのボタ山》1995、インク、グワッシュ・紙、当館蔵

コレクション展Ⅰ
特集:野見山暁治の水彩・素描 開催中

  • 会期2020年8月8日(土)〜
      2020年9月27日(日)

人気のある記事

ケンビブログ

【コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 1 】

 当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描」展について、順次公開してまいります。 本日は、その初回として、「コレクション展とは?」をお送りします。 *本展は、3月14日から…

ケンビブログ

【コレクション展Ⅰ 特集: 野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 2 】

当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。 *本展は、3月14日から5月10日までの会期を予定していたものです。現在当館は、新型コロナウイ…

ケンビブログ
野見山暁治《自画像》1946、鉛筆・紙、当館蔵

【コレクション展Ⅰ 特集: 野見山暁治の水彩・素描】展をホームページ上で公開します 【 3 】

当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。 *本展は、3月14日から5月10日までの会期を予定していたものです。 現在当館は、臨時休館を終…

Twitter