2020年8月18日(火)
福岡県立美術館では、今年100歳を迎える洋画家 野見山暁治を特集した展覧会「コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描」を9月27日(日)まで4階展示室で開催しています。
また、4階の髙島野十郎特設コーナーでは、現在「蝋燭」、「ひまわり」など6点を展示中です。
貸展示室では、8月18日(火)から23日(日)まで、3階1~3号室で「九州写真選手権」を開催中です。
九州・沖縄の方を対象とした写真コンテストで、応募された約150点の写真を出品者のコメント付きで展示しています。
展示期間中、会場にお越しいただいた方による投票により受賞作品が決定します。
お気に入りの作品には、受付で配布しているシールを貼って投票してください。
福岡県立美術館では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に取り組みながら開館しております。
お客様には大変ご不便をおかけいたしますが、ご来館の際には取り組みへのご協力をよろしくお願いいたします。
2020年5月19日(火)
当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。
*画像は、本展会場風景。(2020年3月撮影分)
*本展は、当初2020年3月14日から5月10日までの会期を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染とその拡大防止のための臨時休館により開幕の日を迎えぬまま閉幕しました。
*本展の会期を変更し、2020年8月8日から9月27日までの日程で開催する運びとなりました。
◆ コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描 【 4 】
1-2 終戦、そして筑豊
1948年、野見山は再び上京します。しかし、生まれ故郷の福岡県飯塚の炭鉱の風景に心惹かれ、初期の代表的作品ともなる「廃坑」の連作に取り掛かります。
「青年になって東京へ移り、美校を卒業し、何年も離れていた自分の家に帰り、今まで気付かなかった人工的な炭鉱の風景に非常に逆に魅せられた。この冷たい人工的な風景が郷愁としてあるのか、作られた自然が性格的に好きなのか自分ではよく解らない。」
それまで興味を持つことがなかった風景が、セザンヌを知り、そして対象を幾何学の形でとらえるキュビスムに傾倒していく中で、郷里の炭鉱の風景は異なって見えたと言います。また、炭鉱の風景を描く際には、鉛筆が適した画材だったとも述べています。
上記2つ並んだ作品を見比べるとお分かりいただけるように、油彩画の下絵として描かれたものです。
油彩画に仕上げられた作品の中から、1951年第15回自由美術協会展で《廃坑(A)》のほか2作品が入賞を果たし初期の代表作となりました。日本での評価を得た野見山ですが、ついに念願のフランスへと渡ります。(岡部)
つづく 【 5 】
2020年5月18日(月)
当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。
*画像は、本展会場風景。(2020年3月撮影分)
*本展は、当初2020年3月14日から5月10日までの会期を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染とその拡大防止のための臨時休館により開幕の日を迎えぬまま閉幕しました。
*本展の会期を変更し、2020年8月8日から9月27日までの日程で開催する運びとなりました。
◆ コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描 【 3 】
1-1 終戦、そして筑豊
野見山は1938年に上京し、東京美術学校油画科予科(現・東京藝術大学)を経て、1939年同校本科へ進学し南薫造教室に入室します。南のほか、藤島武二、岡田三郎助、小林萬吾らの教授陣に学びながら、野見山は絵画を探求していきます。そのような充実した学生生活にも戦争の影が徐々に忍び寄るのです。1943年、戦争のために卒業が半年繰り上げられ、戦地に派遣されます。間もなく、学生時代に患った肺浸潤が再発したため戦地を離れ、福岡県内の傷痍軍人療養所にて終戦を迎えます。
「終戦までは、絵を描くにも海岸線には憲兵がいたり、高いところから描いちゃいけなかったり、いろんな制約があった。何でも自由に描いていい時代がやってきたが、別に嬉しくはなかった。」(北里晋『眼の人野見山暁治が語る』弦書房、2009年)と、のちに野見山は静かに回想しています。
《自画像》は終戦直後に描かれた貴重な一作です。野見山は、戦争に阻まれながらも「絵描きとして生きていきたい」という幼少期からの一途な思いを胸に抱いていました。この頃は、再び自由に絵筆をとることが出来た時期でもあります。本作に描かれた青年は、光がさす方向を背にして、暗がりへ、やわらかく純真な視線を投げかけています。その様子は、美術の流行にとらわれることなく自らの道を歩み続けてきた野見山の未来さえ予見させるかのようです。終戦後の空気の中、ナイーブにも確かな意志を秘めた青年期の画家の肖像がここに描かれています。(岡部)
つづく 【 4 】
2020年4月17日(金)
当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ特集: 野見山暁治の水彩・素描」展について順次公開してまいります。
*画像は、本展会場風景。(2020年3月撮影分)
*本展は、当初2020年3月14日から5月10日までの会期を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染とその拡大防止のための臨時休館により開幕の日を迎えぬまま閉幕しました。
*本展の会期を変更し、2020年8月8日から9月27日までの日程で開催する運びとなりました。
◆ コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描 【 2 】
はじめに
1920年に福岡県嘉穂郡穂波村(現・飯塚市)に生まれた洋画家野見山暁治の水彩・素描を特集します。今年100歳を迎える野見山の画業の初期から70年代まで、そして90年代をご紹介します。
野見山の作品といえば、大きなカンバスに描かれた抽象的な油彩画を思い浮かべる方が多いかもしれません。たしかに野見山の多くの作品は、一見すると抽象的にも映りますが、いつも何らかのモチーフ(対象物)から着想し制作されています。抽象的であっても、具象的であっても、野見山の関心のあらわれこそ画面に描かれているといえます。今回ご紹介する水彩・素描は、自画像、炭鉱の風景、パリの風景、ひと、樹など概ね具象的に描かれています。これらは、野見山の活動の初期ともいえる終戦直後からフランス帰国後に油彩画の制作と並行して描かれました。
水彩・素描は、今となっては美術表現の1つのジャンルですが、伝統的な西洋美術では、油彩画の下絵として考えられていました。当時、多くの画家たちがそうであったように、野見山もまた当初下絵としてこれらの制作に取り組んでいました。ご紹介する作品の中には、実際に油彩で制作されたことが確認できる作品もあります。しかしながら、長きにわたる野見山の画業においても、油彩画の下絵という役割をこえていきます。絵を描くことに対して忠実に歩みを進めるうえでは自然な流れだったのでしょう。今日の野見山の油彩画を考える上でも、水彩・素描に着目することは大切な意味を持ちます。
本展では、油彩画も織り交ぜながら、もう一つの側面から野見山の画業をたどります。(岡部)
2020年4月13日(月)
当館ホームページ上で「コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描」展について、順次公開してまいります。
本日は、その初回として、「コレクション展とは?」をお送りします。
*画像は、本展会場風景。(2020年3月撮影分)
*本展は、当初2020年3月14日から5月10日までの会期を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染とその拡大防止のための臨時休館により開幕の日を迎えぬまま閉幕しました。
*本展の会期を変更し、2020年8月8日から9月27日までの日程で開催する運びとなりました。
◆「コレクション展Ⅰ 特集:野見山暁治の水彩・素描」展 【 1 】
「コレクション展とは?」
当館は、開館以来、福岡県及び九州にゆかりある美術作品を収集してきました。現在所蔵する作品点数は、約1万点にものぼります。それらの作品の中から毎回異なるテーマを設けて、さまざまな角度から所蔵品をご紹介しています。当館では、毎年3本程度のコレクション展を開催しています。
今回のコレクション展では、 1920年に福岡県嘉穂郡穂波村(現・飯塚市)に生まれた洋画家 野見山暁治の水彩・素描を特集します。今年12月に100歳を迎えることを祝して、長年、油彩画と並行して取り組まれてきた水彩・素描に着目し、野見山の世界観をご紹介します。(岡部)
2020年1月18日(土)
城一裕《線 (可逆的な) / Lines (reversible) 》は、1月18日(土)、1月19日(日)に以下のタイミングで稼働する予定です。
10:00頃
11:00頃
12:00頃
13:00頃
14:00頃
15:00頃 (18日のみ)
16:00頃 (18日のみ)
17:00頃 (18日のみ)
2019年12月23日(月)
「おとない -Sound/Visit-」展(2020.1.15~1.19)
【出品作家】
生島国宜、Eri Tsutsumy、城一裕、duenn、monogs
2020.1.19 15:00~ ライブ&アーティスト・トーク
おとない
①音のたつこと。また、その音や響き。
②けはい。様子。
③おとずれ。訪問。
④評判。うわさ。
「音とは神の『音ない』(音をたてること。訪れ)」(白川静)
本展では、福岡県立美術館という場、福岡県立美術館のコレクション、視覚芸術・音響芸術の領域で活動する福岡の作家たちの作品、それらの出会い、共鳴により、美術・芸術や美術館という場を見つめなおすとともに、新たな多声的可能性を探ります。
会場:福岡県立美術館1階彫刻展示室
会期:2020年1月15日(水)~ 19日(日)
主催:福岡県立美術館、おとない展実行委員会
助成:公益財団法人 福岡文化財団
2019年11月3日(日)
「新たな高島野十郎展」にて掲示されている章解説パネルを公開いたします。
会場で文章をじっくり読めなかった方、会場にお越しになれない方は、ぜひこちらをご参照ください。